(6) 遺産分割の効力

Q. 相続人全員の合意で一度行った遺産分割をやり直すことは可能ですか
A
  • 遺産分割の合意解除
    相続税の申告期限が存在するため、相続人間において、遺産分割協議を急いで完了させるという事例も少なくないと思われます。ところが、熟慮してみると遺産分割の仕方がまずかった、もう一度やり直したいという場合も考えられるでしょう。
    例えば、相続発生直後に、長男Xが土地建物を相続し、二男Yは会社の後継者となるべく自社株式を相続するという遺産分割協議が成立したものの、次第にXのほうが会社の後継者にふさわしいと思い直すようになり、Yも相当の財産をもらえるならば会社経営には興味がないという場合です。
    相続人の一部だけがやり直しを考えても、無効、取消事由がない限り、一度行った遺産分割の効力が覆ることはありませんが、相続人全員が合意して当初の遺産分割とは異なる再分割を希望した場合、それは可能でしょうか。
  • 最高裁平成2年9月27日判決
    共同相続人の全員が既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、 改めて遺産分割協議をなしうることは、 法律上、 当然には妨げられるものではない、と判示し、 合意解除の有効性を認めています。
    結局、遺産は相続人らが相続する財産ですから、相続人全員の合意があれば、一度決めた分割方法の見直しはできるのです。ただし、合意解除に遡及効のような特別な効力は認められません。
  • 税務上の注意点
    なお、合意解除及び再分割をした場合に、 税務上、 分割後の贈与であると認定されて贈与税が課されるおそれがあるため、実際の再分割には慎重な配慮が必要です。
    (相続紛争の予防と解決マニュアル)http://free.ac-lib.jp/category9/category1/index1232.html