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第2遺産分割の対象となる財産の範囲

  • 遺産分割は、相続財産を相続人に分配、分属させる手続ですから、遺産分割の対象となる財産の範囲は、相続性を有する一切の権利義務(一身専属的な権利義務以外のもの)ということになります。
  • しかし、遺産中の債務について、判例は一貫して金銭債務のような可分債務は遺産分割を経ることなく、その相続分に応じて各共同相続人が承継するとしており(最判昭34.6.19)、遺産分割の対象とならないとしています。(なお、協議分割の場合につき後記第42(ホ)参照)
  • また、実際の遺産分割においては、相続開始から分割までに相当の時間を要することも少なくありません。
    そのため、相続財産を構成する個々の財産の中で変動を生じるものがあり、遺産分割の際、どのように扱うべきか問題となります。
    実務では、分割時に現存するものが遺産分割の対象となる相続財産であるとする遺産分割時説に従っています。
  • 次に、具体的に相続財産の変動が問題となりうる事項につき検討します。
    (1)相続財産からの収益
    相続財産を構成する不動産が他に賃貸されていて、賃料収入がある場合等がこれに該当します。
    この収益が相続財産となるか否かについては争いのあるところで、具体的には、この収益の分割を遺産分割手続によるのか、共有物分割手続によるのかという問題となって現われます。
    この点については、原則的には、訴訟手続によるべきものであるが、当事者間に合意がある場合には、相続財産と一括して遺産分割の対象とすることができるとする見解が裁判例の主流を占めています(東京高判昭56.5.18、東京高判昭63.5.11)。
    (2)代償財産
    相続財産を構成する建物が火災で焼失し、火災保険金が支払われたり、相続人の1人が他に売却して、その代金が支払われる場合等、本来の姿を代えた財産(代償財産)として存在する場合があります。
    この代償財産が相続財産に含まれるか問題となります。
    この点については、裁判例も積極・消極両方に分かれていますが、代償財産は相続財産に含まれ、遺産分割の対象となるという積極説をとる裁判例の方がやや有力という状況です(東京高判昭39.10.21等)。
    (3)管理費用
    1)相続財産に関する費用は、相続財産の中から支弁することになっています(民法第885条第1項本文)。
    したがって、相続財産によって清算されますが、遺産分割手続において行うのか、別の民事訴訟で行うのかについては、争いがありますが、遺産分割手続内での清算を積極に解する見解が主流です(大阪高判昭41.7.1)。
    2)相続財産に関する費用にあたるか否かについて争いのあるものとして、(a)有益費、(b)公租公課、(c)相続税、(d)相続債務の弁済費用があります。
    そして、相続財産に関する費用にあたると解する立場からは、遺産分割手続の中で清算することになり、逆にあたらないと解する立場からは、遺産分割手続外により清算するか別途民事訴訟法により解決することになります。