第3遺産分割の基準
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遺産分割の基準
民法第906条は、「遺産の分割は遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と規定しています。
元来、遺産分割は、相続分に従って行われるべきものですが、遺産には、不動産、動産、債権その他多種多様のものがあり、土地といっても宅地、山林、農地等によって全く性質が異なります。また、相続人も年齢、職業、収入、健康状態等、多種多様です。したがって、遺産分割において、相続分によって単純に分配することはできず、これら多種多様の事情を考慮して分割せざるを得ない側面があります。 -
相続分との関係
(1) 民法により共同相続人間の相続分が定められています(民法第900条、第901条)。
これを法定相続分といいます。法定相続分については、第4遺産分割の方法の2協議による分割をご参照下さい。
また、被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができます(民法第902条第1項)。
これを指定相続分といいます。
指定相続分は、法定相続分に優先されます。即ち、指定相続分がある場合には、法定相続分の規定は適用されません。(2) それでは、遺産分割において、共同相続人が上記のような相続分を変更し、自由に分割してもよいのでしょうか。換言すれば、指定相続分ならば被相続人の意思、法定相続分ならば民法の意思よりも、相続人の意思の方を優越させることが許されるのかが問題となります。
この点については、民法第906条の規定は、遺産分割を実行する指針を定めたものであり、遺産分割は、相続分にしたがってなされなければならないという考え方が主流です。すなわち、民法第906条の規定は、建物を現に居住している者に取得させたり、農地を農業従事者に取得させ、それにより、共同相続人間に不均衡が生ずる場合に、預金等その他の遺産で均衡をとるような指針で分割すべきであることを定めた規定であり、相続分自体を変更することまで認めた規定ではないとされています。
但し、上記は、遺産分割審判手続における分割の基準と解すべきであり、現に共同相続人間の協議が中心である遺産分割調停においては、共同相続人間の合意により、比較的柔軟な対応がされています。また、共同相続人間における分割協議においては、自由に分割でき、ある相続人の取得分をゼロとする分割協議も有効と考えられています。