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第5遺産分割の効果

1. 遡及的効力
(1) 遺産の分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生じ、各相続人が分割によって取得した財産は、相続開始時に被相続人から直接承継したことになります(民法第909条本文)。通常の共有物分割においては、分割時から効力を生じることとされているのと異なります。
(2) 遡及的効力が認められる範囲は、遺産分割によって取得した財産に限られます。代償分割によって取得した遺産については遡及的効力が生じますが、代償金支払債務については生じません。
また、換価分割によって取得した財産(代価)についても遡及的効力は生じません。
2. 第三者の権利保護力
遺産分割の遡及的効力は、相続人の保護には資するものといえますが、一方、分割前に相続人から権利を譲り受けた第三者の権利を害するおそれがあります。
そこで、第三者の権利を保護するため、遡及的効力が制限されています(民法第909条但書)。民法第909条但書の「第三者」とは、相続開始後、遺産分割までの間に登場した第三者のことをいいます。但し、この第三者が同条によって権利主張するためには、登記等の対抗要件を備える必要があるとされています。
一方、遺産分割により相続財産中の不動産について法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、当該不動産につき登記を経なければ、遺産分割後に当該不動産について権利を取得した第三者に対して、自らの権利を主張することができなくなります(最判昭46.1.26)。
3. 死後認知者の価額請求
(1) 民法第910条は、死後認知によって相続人となった者が遺産の分割請求をするにあたり、他の相続人が既に遺産分割その他の処分をしている場合には、遺産分割のやり直しを避けつつ、被認知者の保護のために価額による支払請求のみを認めています。
(2) この価額による支払請求は、通常の訴訟手続によってなされるべきと考えられています。
(3) 価額算定の基礎となる財産の算定の時期は、支払時に最も近接した時点(訴訟手続においては事実審の口頭弁論終結時とされます)であると解されています。