(3) 遺産分割の方法
遺産分割の方法には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4種類があります。
(イ)遺言による分割
被相続人は、遺言で分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができます。
例えば、「妻には自宅土地建物を、長男には田畑を、長女には現金1000万円を相続させる」 というように、分割の具体的な方法、すなわち、各相続人の取得すべき遺産を具体的に定めることです。
また、個々の財産をその性質や形状を変更することなく相続人に配分する現物分割、相続人の一部にその相続分を超える財産を取得させ、他の相続人に対し債務を負担させる代償分割、遺産を売却処分してその価額を分配する換価分割、いずれによるべきかの指定もできます。
なお、相続分の指定が無効であるとき、あるいは第三者が相当の期間内に指定をしない場合は、他の手続によることになります。
例えば、「妻には自宅土地建物を、長男には田畑を、長女には現金1000万円を相続させる」 というように、分割の具体的な方法、すなわち、各相続人の取得すべき遺産を具体的に定めることです。
また、個々の財産をその性質や形状を変更することなく相続人に配分する現物分割、相続人の一部にその相続分を超える財産を取得させ、他の相続人に対し債務を負担させる代償分割、遺産を売却処分してその価額を分配する換価分割、いずれによるべきかの指定もできます。
なお、相続分の指定が無効であるとき、あるいは第三者が相当の期間内に指定をしない場合は、他の手続によることになります。
(ロ)協議による分割
(a)内容
協議による分割は、裁判所が関与せずに、相続人全員の合意により遺産を分割する手続で、最も一般的な分割方法といえます。
相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます。
協議の成立には、相続人全員の意思の合致が必要ですが、分割協議成立後に認知された子が現れた場合については、協議そのものをやり直す必要はなく、価額による支払請求が行われます。
相続人全員の意思の合致がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。したがって、特定の相続人の取得分をゼロとするような分割協議も有効と考えられています。
遺言執行者が指定されていない遺言が存在する場合でも、相続人全員の同意があれば、一定の範囲 (被相続人の意思を全く没却するものとはいえない範囲) で遺言と異なる分割協議をすることもできると考えられています。
(b)当事者
相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます。
協議の成立には、相続人全員の意思の合致が必要ですが、分割協議成立後に認知された子が現れた場合については、協議そのものをやり直す必要はなく、価額による支払請求が行われます。
相続人全員の意思の合致がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。したがって、特定の相続人の取得分をゼロとするような分割協議も有効と考えられています。
遺言執行者が指定されていない遺言が存在する場合でも、相続人全員の同意があれば、一定の範囲 (被相続人の意思を全く没却するものとはいえない範囲) で遺言と異なる分割協議をすることもできると考えられています。
遺産分割協議の当事者は、相続人全員です。また、相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これら当事者の一部を除外して分割協議を行った場合には、分割協議自体が無効とされる可能性があります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその財産を取得するため、遺産分割協議の当事者とはなりません。
(c)遺産分割協議書
これら当事者の一部を除外して分割協議を行った場合には、分割協議自体が無効とされる可能性があります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその財産を取得するため、遺産分割協議の当事者とはなりません。
協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成するのが通常です。
不動産の登記の名義変更の便宜を考えると、遺産分割協議書には各相続人が署名するとともに実印による押印がなされるべきでしょう。
不動産の登記の名義変更の便宜を考えると、遺産分割協議書には各相続人が署名するとともに実印による押印がなされるべきでしょう。
(ハ)調停による分割
(a)内容
相続人間で遺産分割の協議が調わないとき、又は、協議をすることができないときは、各相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます。
協議が調わないとは、分割の方法について相続人間の意見が一致しない場合ほか、分割をするかしないかについての意見が一致しない場合も含みます。
家庭裁判所に対しては、まず調停を申し立てることが一般的ですが、直接審判の申立てをすることもできます。ただし、調停を経ずに審判を申立てた場合には、家庭裁判所が職権で事件を調停に付することができます。
調停は当事者となる相続人の合意にその基礎をおくものですから、実質的には家庭裁判所における調停委員会もしくは家事審判官のあっせんによる協議分割とみることができます。
そのため、分割方法は法定相続分あるいは指定相続分に従う必要はないと考えられています。また、相続債務、遺産からの果実、遺産の管理費用及び相続税等の清算を調停手続の中で行うなど、その運用は柔軟になされています。
(b)申立ての手続
協議が調わないとは、分割の方法について相続人間の意見が一致しない場合ほか、分割をするかしないかについての意見が一致しない場合も含みます。
家庭裁判所に対しては、まず調停を申し立てることが一般的ですが、直接審判の申立てをすることもできます。ただし、調停を経ずに審判を申立てた場合には、家庭裁判所が職権で事件を調停に付することができます。
調停は当事者となる相続人の合意にその基礎をおくものですから、実質的には家庭裁判所における調停委員会もしくは家事審判官のあっせんによる協議分割とみることができます。
そのため、分割方法は法定相続分あるいは指定相続分に従う必要はないと考えられています。また、相続債務、遺産からの果実、遺産の管理費用及び相続税等の清算を調停手続の中で行うなど、その運用は柔軟になされています。
1)当事者
遺産分割調停の当事者は、各相続人です。相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。
相手方の中に行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を調停手続に参加させる必要があります。
2)管轄裁判所
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。
相手方の中に行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を調停手続に参加させる必要があります。
調停の申立は、相手方の住所地又は当事者が合意で定める地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
相手方が複数存在し、住所地が異なるときは、その中のいずれの家庭裁判所に対しても申立てることができます。
3)調停手続
相手方が複数存在し、住所地が異なるときは、その中のいずれの家庭裁判所に対しても申立てることができます。
イ.調停機関
4)調停手続の終了
調停は、家事審判官及び調停委員をもって組織する家事調停委員会が行います。実務上は、弁護士その他の専門家を含む2名の調停委員が家事審判官の意見を聞きながら、事件の実情の聴取、調停の勧告を行います。
ロ.調停手続
遺産分割調停は、調停期日に、当事者その他の関係者を出頭させて非公開で行われます。
申立人と相手方は、交互に調停室に入室し、個別に調停委員から事情聴取されることとなります。
ハ.分割の基準と態様
申立人と相手方は、交互に調停室に入室し、個別に調停委員から事情聴取されることとなります。
調停による遺産分割は、当事者間の合意に基礎をおく協議による分割の一種であると考えられ、分割の基準、方法、態様に制限はありません。
もっとも現実問題としては、相続分、特別受益、寄与分等の事情を考慮した分割方法によらなければ、調停の成立は困難な場合が多いでしょう。
ニ.隔地者等出頭困難な者がいる場合の手続の特則
もっとも現実問題としては、相続分、特別受益、寄与分等の事情を考慮した分割方法によらなければ、調停の成立は困難な場合が多いでしょう。
当事者が遠隔の地に居住していたり、病気、老齢等の理由により、調停期日に出頭することが客観的に困難な場合、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭してその調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなされます。
イ.調停の成立
調停において当事者間に合意が成立し、調停機関 (調停委員会もしくは裁判所) がその合意が相当であると認めてこれを調停調書に記載することにより調停が成立します。
調停が成立すると、確定した審判と同一の効力を有します。
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の具体的給付義務を定めた調停調書の記載は、執行力のある債務名義と同一の効力を有しますので、執行文等の付与を要することなく直ちに強制執行をすることができます。
相続人は調停調書の正本を相続を証する書面として添付し、単独で登記申請をすることができます。
ロ.調停の不成立 (不調)
調停が成立すると、確定した審判と同一の効力を有します。
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の具体的給付義務を定めた調停調書の記載は、執行力のある債務名義と同一の効力を有しますので、執行文等の付与を要することなく直ちに強制執行をすることができます。
相続人は調停調書の正本を相続を証する書面として添付し、単独で登記申請をすることができます。
当事者間に合意の成立する見込みがない場合や成立した合意が相当でないと認められる場合には、調停機関は調停を成立しないものとして事件を終了させることができます。これを調停の不成立 (不調) といいます。
合意の成立する見込みがあるかないかの判断は、調停機関によってなされます。合意が相当でない場合とは、公序良俗に反する合意事項を内容とする場合等、正義、公平の観点から許されない場合をいいます。
調停が不調となった場合には、調停の申立ての時に遺産分割の審判の申立てがあったものとみなされ、遺産分割事件について審判手続が開始することになります。
審判手続の開始にあたって、さらなる申立ては不要で、実務上は調停事件を取り扱った裁判所が審判事件を行うことになっています。
ハ.調停申立ての取下げ
合意の成立する見込みがあるかないかの判断は、調停機関によってなされます。合意が相当でない場合とは、公序良俗に反する合意事項を内容とする場合等、正義、公平の観点から許されない場合をいいます。
調停が不調となった場合には、調停の申立ての時に遺産分割の審判の申立てがあったものとみなされ、遺産分割事件について審判手続が開始することになります。
審判手続の開始にあたって、さらなる申立ては不要で、実務上は調停事件を取り扱った裁判所が審判事件を行うことになっています。
申立人は、調停の成立又は不成立までの間であればいつでも遺産分割調停の取下げをすることができます。取下げの方式は、実務上は書面によっています。
取下げに理由はいりませんし、訴訟手続と異なり、相手方の同意も必要ありません。但し、審判から調停に付された事件においては、調停のみの取下げはできません。
取下げに理由はいりませんし、訴訟手続と異なり、相手方の同意も必要ありません。但し、審判から調停に付された事件においては、調停のみの取下げはできません。
(ニ)審判による分割
(a)内容
遺産分割の協議が調わなかったり、協議ができないときは、各相続人は家庭裁判所に対して、遺産分割の審判を請求することができます。
遺産分割の調停を申立てたたものの、遺産分割調停が不成立となった場合、調停申立時に審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続に移行します。
審判分割においては、家庭裁判所の審判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、各相続人の相続分に反しないよう分割を決定します。
協議や調停と異なり、当事者の合意がなくとも、分割方法が決定される点に審判の特色があります。
(b)申立ての手続
遺産分割の調停を申立てたたものの、遺産分割調停が不成立となった場合、調停申立時に審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続に移行します。
審判分割においては、家庭裁判所の審判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、各相続人の相続分に反しないよう分割を決定します。
協議や調停と異なり、当事者の合意がなくとも、分割方法が決定される点に審判の特色があります。
1)当事者
遺産分割審判の当事者は、各相続人です。相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。
相手方の中に行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を審判手続に参加させる必要があります。
2)管轄裁判所
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。
相手方の中に行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を審判手続に参加させる必要があります。
審判の申立は、被相続人の住所地又は相続開始地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
調停が不成立となって審判に移行した場合には、原則として調停手続を行った家庭裁判所が審判手続を行いますが、相続財産の鑑定に著しい支障が生じる場合や尋問を要する参考人等が他の管轄家庭裁判所区域内に多数存在するなど、事件処理をするために適当であると認められる場合には、事件を移送することができます。
3)審判手続
調停が不成立となって審判に移行した場合には、原則として調停手続を行った家庭裁判所が審判手続を行いますが、相続財産の鑑定に著しい支障が生じる場合や尋問を要する参考人等が他の管轄家庭裁判所区域内に多数存在するなど、事件処理をするために適当であると認められる場合には、事件を移送することができます。
イ.審理手続
4)審判手続の終了
法律上は、審判官に加えて参与員の立ち合いが認められていますが、実務の運用では、家事審判官が単独で審判を行っています。
家事審判手続は、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図るため、国家が後見的見地から遺産に関する関係に介入し、裁量的、合目的に具体的な分割方法を決定する手続です。
そのため、通常の訴訟手続と異なり、家庭裁判所は、職権で事実の調査及び必要と認める証拠調べを行い、審理は非公開で行われます。
また、やむを得ない事由がある場合を除き、事件の関係人自身が出頭することが要求されています。
ロ.分割の基準と態様
家事審判手続は、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図るため、国家が後見的見地から遺産に関する関係に介入し、裁量的、合目的に具体的な分割方法を決定する手続です。
そのため、通常の訴訟手続と異なり、家庭裁判所は、職権で事実の調査及び必要と認める証拠調べを行い、審理は非公開で行われます。
また、やむを得ない事由がある場合を除き、事件の関係人自身が出頭することが要求されています。
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われます。
審判においては、分割協議や遺産分割調停と異なり、家庭裁判所が裁量により相続分を増減することは許されないとされています (最判昭36.9.6)。
分割の態様には、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割、用益権設定による分割及びこれらを併用する等の方法があり、裁判官の裁量的判断により決定されることになります。
審判においては、分割協議や遺産分割調停と異なり、家庭裁判所が裁量により相続分を増減することは許されないとされています (最判昭36.9.6)。
分割の態様には、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割、用益権設定による分割及びこれらを併用する等の方法があり、裁判官の裁量的判断により決定されることになります。
イ.審判の認容、却下
認容の審判は、申立てが適法であり、かつ遺産分割の処分をなすべきものと認められる場合になされるものです。
確定した審判により、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずるものについて、執行文の付与を要することなく直ちに強制執行することができます。
却下の審判は、申立てが不適用、又は分割の理由ないし必要がない場合になされるものです。
遺産分割審判は、告知を受けた日から起算して2週間が経過すると確定し効力を生じます。審判に対し、不服のある当事者は、この期間内に即時抗告をすることができます
抗告審が即時抗告の理由があると認めたときは、原審判を取消した上、事件を原審家庭裁判所に差し戻すのが原則であり、すでに事実関係が明らかであるなど例外的な場合には原審判を取り消して自ら審判に代わる裁判を行います。
ロ.審判申立ての取下げ
確定した審判により、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずるものについて、執行文の付与を要することなく直ちに強制執行することができます。
却下の審判は、申立てが不適用、又は分割の理由ないし必要がない場合になされるものです。
遺産分割審判は、告知を受けた日から起算して2週間が経過すると確定し効力を生じます。審判に対し、不服のある当事者は、この期間内に即時抗告をすることができます
抗告審が即時抗告の理由があると認めたときは、原審判を取消した上、事件を原審家庭裁判所に差し戻すのが原則であり、すでに事実関係が明らかであるなど例外的な場合には原審判を取り消して自ら審判に代わる裁判を行います。
申立人は、審判の確定前であればいつでも審判申立を取下げることができます。民事訴訟手続と異なり相手方の同意は不要です。
但し、数人が共同して申立てをしている場合には、全員による取下げが必要です。取下げの方式は、実務上は書面により行っています。
ハ.調停の成立
但し、数人が共同して申立てをしている場合には、全員による取下げが必要です。取下げの方式は、実務上は書面により行っています。
審判から調停に付され、その調停が成立した場合には、審判は何らの手続を要せず当然に終了します。